イオンマイグレーションとは

マイグレーションとは

電子部品・電子機器を長期間使用すると故障が発生します。いわゆる寿命です。故障要因の一つとして絶縁不良があります。絶縁不良が発生するとショート(短絡)により火災等の重大事故につながることも有り得ます。絶縁不良の要因としては、マイグレーションがあります。マイグレーションは「移動」の意味です。物質が移動する現象をマイグレーション現象と呼びます。マイグレーションには、大きくエレクトロマイグレーションとイオンマイグレーションがあります。

エレクトロマイグレーション

IC内のアルミ配線や銅配線内を電子が移動することで欠損が発生する現象を、エレクトロマイグレーションと呼びます。電流密度が高いほど発生しやすくなります。EM評価装置で信頼性評価を実施することが可能です。

イオンマイグレーション

イオンマイグレーションとは、プリント基板などでソルダーレジストとパターンを構成する金属が電気化学反応を起こし、本来絶縁状態にあるパターン間に導電 性物質が溶出してショートさせてしまう現象です。製品故障の原因のひとつとされており、イオンマイグレーションを誘発するストレス要因としては、温度・湿度・電界(電圧)など が挙げられます。イオンマイグレーションの正式名称は、エレクトロケミカルマイグレーションです。

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このグラフは、絶縁信頼性テスタを 使用してTHB試験を行い、イオンマイグレーションをとらえたグラフです。このグラフから判るように、イオンマイグレーションの初期症状としてオープン ショートを繰り返します。これは、デンドライト状に溶出した導電性物質が、ショートした瞬間の大電流により切れてしまい絶縁状態に戻ってしまうためです。 時間が経過していくと次第にこのオープンショート現象が多くなり、最終的には製品の故障に至ります。但し、ショートしている時間は数百msec以下である ため、通常の絶縁抵抗計では測定することができません。正確に現象をとらえるには、高速連続測定が要求されます。

イオンマイグレーションの試験環境

イオンマイグレーション試験は、恒温恒湿(85℃85%RH等)の状態で試験を行います。HASTで加速試験を行う場合もあります。温度と湿度によりイオンマイグレーションが加速するためです。

イオンマイグレーションの試験時間

イオンマイグレーションの試験時は、500時間~1000時間の長時間で評価します。100時間程度でイオンマイグレーション現象が発生する場合もあります。

イオンマイグレーションの測定

イオンマイグレーション評価では、絶縁抵抗を測定します。直流電圧を印加し電流を測定し、オームの法則で抵抗値を算出します。弊社の絶縁信頼性テスタは、全CHで同時に印加し同時に測定が可能なため、イオンマイグレーションの素早い挙動を捉えることが可能です。プリント基板のイオンマイグレーション評価では、数V~50V程度を印加します。高絶縁材料のイオンマイグレーション評価では数kVを印加します。

THB試験とは

Thermal Humidity Biasの略で高温高湿バイアス試験のことを指します。
高温高湿槽を使用して、試料(製品)を温度85℃/湿度85%のストレス環境下に長時間さらす加速劣化試験です。
イオンマイグレーションを誘発させたい場合は、さらに電気的ストレス(高電圧)を印加します。